肩から腕にかけての痛みやしびれ
年齢を重ねるにつれて肩や腕に感じる違和感や痛みは、単なる疲労とは異なる体からの重要なメッセージかもしれません。特に中高年の方に多く見られるのが、肩甲骨周辺から腕、そして指先にかけて広がる痛みやジンジンとしたしびれといった症状です。これらの症状の現れ方は軽いものから日常生活に支障をきたすほど強いものまで、人それぞれ異なります。
ふとした瞬間に首を後ろに傾ける動作がつらく感じられることはありませんか?例えば、首のストレッチで首を後ろに傾けたり洗口したりする際に、首の後ろ側にズキッとした痛みや不快感が走る場合は注意が必要です。症状が進行すると腕の力が入りにくくなったり、触れた時の感覚が鈍くなることもあります。
痛みの背景を探る
これらの不快な症状の多くは加齢に伴う首の骨、すなわち頸椎の構造的な変化が深く関わっています。長い年月の中で背骨を構成する椎骨と椎骨の間でクッションの役割を担う椎間板が、徐々に後方へ突出したり骨の表面が棘のように変形したりすることがあります。これらの変化が脊髄から枝分かれして腕や手指へと伸びる神経の根元(神経根)を圧迫したり、刺激したりすることで、特有の痛みやしびれが生じるのです。
また、日頃の何気ない姿勢も影響を与えることがあります。例えば遠近両用眼鏡を使用している方がパソコンの画面を見ようとする際に、無意識のうちに首を反らせるような姿勢を取り続けることなどが挙げられます。頸椎に過度な負担をかけてしまうことも考えられます。
診断
もし腕や手にしびれや痛みを感じ、首を後ろに反らすことで症状が悪化するようであれば、ためらわずに整形外科を受診することをお勧めします。診断の際には、詳細な問診に加えて、頸椎の状態を詳しく把握するためのX線(レントゲン)検査が行われるのが一般的です。より詳細な状態を確認するために、磁気共鳴画像(MRI)検査が必要となる場合もあります。MRI検査で明らかな神経根の圧迫が見られない場合でも骨の変形によって神経の通り道である椎間孔が狭くなっていることが確認できることがあります。
治療
多くの場合、これらの症状は時間をかけて自然に改善していくことが期待できます。日常生活においては、首を後ろに大きく反らせるような動作をできる限り避けることが重要です。また、症状に応じて、適切な方向への頸椎牽引療法や、痛みが強い時期には炎症や痛みを和らげる薬物療法が行われることがあります。症状が落ち着くまでには数ヶ月以上の時間を要することもありますが、つらい時期を乗り越え、焦らずにじっくりと治療に取り組むことが大切です。
ただし、腕の筋力が著しく低下している場合や、強い痛みによって仕事や日常生活に大きな支障が出ている場合には、外科的な手術による治療が検討されることもあります。
ご自身の症状について少しでも不安を感じたら、自己判断せずに整形外科医に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
対応疾患例
【首・肩】
【背中・腰】
【肘・手】
- 肘
- 変形性肘関節症
- 肘
- テニス肘
(上腕骨外側上顆炎) - 肘
- 肘内障
- 手・指
- 母指CM関節症
- 手・指
- ドケルバン病
(狭窄性腱鞘炎) - 手・指
- ばね指
- 手・指
- へバーデン結節
- 手・指
- ガングリオン
- 手・指
- マレット変形(槌指)
【足】
- 股関節
- 変形性股関節症
- 膝
- 半月(板)損傷
- 膝
- 変形性膝関節症
- 足
- 捻挫
- 足
- ロコモティブシンドローム
【全身・その他】
- 全身
- 骨粗鬆症(骨粗しょう症)
- 全身
- 骨折
- 全身・足
- 痛風
- 全身・足
- 小児の骨折